送別会で送る側の挨拶例文集 送別理由と関係性で内容を変えよう

2024/8/29

2024/08/29

出会うときに理由はなくとも、別れには必ず理由があるもの。

職場の送別会において、退職者や異動者を「送る側」の挨拶は、送られる側の事情や関係性などを考慮すると、内容が大きく変わります。

 この記事では、送別会の送る側として挨拶することになった方のスピーチのポイント、送別理由ごとの挨拶例文をご紹介します。

送別会で送る側の挨拶のポイント

 職場の送別会の送る側の挨拶で大切なのは、「感謝の気持ちを伝えること」と「これまでの功績をたたえること」です。

送別会で「送られる側」の事情や関係性などを加味してスピーチの中身を変える必要がありますが、送別会の送る側の挨拶としては「ありがとう」と「お疲れ様」がきちんと伝われば、申し分ありません。

 なお、送られる側の方との関係性によって、「送る側の挨拶」のスタンスは変わります。

 【送別会の「送る側の挨拶」における関係性と求められるスタンス】

関係性

求められるスタンス

上司から部下へ

  • 感謝の気持ちよりも「これまでよく頑張ったね」というニュアンスを強く出す
  • これまでのがんばりを褒めつつ、次の新たなステージでの活躍を願う言葉でまとめる

同僚へ

  • 感謝の気持ちと、残念でさみしい気持ちを伝える
  • 一緒に仕事したエピソードから、人柄などを紹介
  • 功績は「これまで頑張ってきたのを見てきた」というニュアンスで伝えて、上から目線での言及を避ける

部下から上司へ

  • これまでの感謝の気持ちを強調する
  • 功績については特に触れずに「上司の教えを忘れず、しっかりやっていきます!」という抱負を述べる(しっかり部下を育てた事実こそが、送られる人の功績になる。主要な功績は他の方がスピーチで言及する可能性が高い)

送別会の「送る側の挨拶」のタイミング

 送別会のプログラムは社風や地域によっても様々ですが、「送る側の挨拶」のタイミングは、コース料理のデザートまで出た辺りか、ラストオーダーの飲み物が届いた後が一般的です。 

【送別会のプログラムの例】

送別会の流れ

挨拶の担当者

開会宣言

幹事または司会進行が担当

開会の挨拶

参加者の中で最も役職が高い方が担当

乾杯の挨拶(会食スタート)

参加者の中で3番目に役職が高い方が担当

【送る側の挨拶】

送られる方の直属の上司や関わりが深い同僚が担当

プレゼント・花束の贈呈

送られる方の部下や同僚が担当

送る側の挨拶

送別会の主賓(送られる方)が担当

締めの挨拶

参加者の中で2番目に役職が高い方が担当

開会の挨拶(開会宣言)

幹事または司会進行が担当

 送別会の規模によっては「開会の挨拶」や「乾杯の挨拶」が「送る側の挨拶」を兼ねることがありますが、挨拶の内容は原則、変化しません。

 乾杯の挨拶を兼ねる「送る側の挨拶」の場合、最後に「乾杯!」を付け加えましょう。 

送別会の「送る側の挨拶」にユーモアは必要か?

 一般的に、「送る側の挨拶」にユーモアを盛り込む必要はないと考えられます。

当たり前ですが、送別会の主役は「送られる側」の退職者や異動者であって、「送る側」ではありません。

送られる側の挨拶にユーモアがあれば場が和む可能性が高いですが、送る側が自身の挨拶にユーモアを盛り込んでも、でしゃばって見えるため、同じ効果は見込めないでしょう。

【自己都合で退職】送別会で送る側の挨拶例文

 転居や転職などの自己都合での退職をする場合、人によって理由はさまざまですので、送別会での「送る側の挨拶」に必ずしも退職理由を盛り込む必要はありません。

※結婚や出産に絡む退職も自己都合退職ですが、この後にポイントを紹介します。 

【自己都合で退職:上司から部下へのスピーチ】

Aさん、年間、リーダーとしてチームを支えてくれたこと、本当に心から感謝しています。

○○のプロジェクトの成功は、チームのリーダーがAさんでなければ、きっと成し遂げられなかったでしょう。あなたのその実力なら、新しいところでもきっと即戦力として活躍できるでしょう。 

かねてより、○○の道に進みたいとの相談は受けておりましたが、このたび新しいキャリアに進まれることになりました。Aさんのご退職は、会社としてもチームとしても大きな痛手ではありますが、社会や業界とって貴重な人材であるAさんを、気持ちよく送り出したいと思います。

Aさんの、さらなるご活躍とご多幸をお祈りしております。

 今まで、本当にありがとう。これからも、がんばってください!

 以上、送別の言葉とさせていただきます。

 【自己都合で退職:同僚へのスピーチ】

Aさん、□年間、ありがとうございました。

Aさんとは○○のプロジェクトのときに、初めて一緒に仕事をさせていただきました。その仕事ぶりは勉強になることばかりで、仕事は大変でしたが、楽しくもありました。その仕事をしているときの雑談で初めて、Aさんのキャリアプランについて聞いたように思います。

 今回はAさんのキャリアプランに沿った退職だと聞いています。これまで○○のプロジェクトだけでなく、○○のプロジェクトも、○○のプロジェクトも乗り越えてきたのを見てきました。Aさんなら、どんな困難も乗り越えていけると信じています。

 Aさん、さみしいですが、今まで、本当にありがとう。これからもAさんのファンとして応援しています!

 以上、送別の言葉とさせていただきます。

 【自己都合で退職:部下から上司へのスピーチ】

Aさん、配属されてから3年間、本当にありがとうございました!

 生意気ざかりの新人だった私に、毎日、敬語を添削して叱ってくださったときのことが、遠い昔のようです。

 私が○○プロジェクトで失敗したときには飲みに連れていって、励ましていただきました。今、私がここにあるのは、Aさんのご指導のおかげだと思います。

 つい1ヶ月前です。Aさんが退職されると伺って、ショックでした。でも、Aさんのキャリアアップにとって必要なことと説明され、きっと私の成長にとってもAさんなしに仕事できるようになることは必要なことなのだ、と思い直しました。

 Aさんにご指導いただいたこと、よくしてくださったご恩は、次にチームに入ってくる新人に返したいと思います。

 大変なこともたくさんあるかと思いますが、Aさんなら、絶対乗り越えられます。がんばってください!

 私も、Aさんに負けないくらい、がんばってまいります!

 以上、送別の言葉とさせていただきます。

【結婚や出産で退職】送別会で送る側の挨拶例文

 結婚や出産に絡む退職者の送別会は、あくまで「退職に伴う別れ」を惜しむ場であり、結婚や出産のお祝いの気持ちを伝える必要はありません。 

自己都合での退職の文例を参考にして、結婚や出産について触れず、スピーチしましょう。

結婚や出産について触れるのは避けられる理由は、女性に対するスピーチでは言葉を選ぶセンスが問われ、下手なことを言うとトラブルに発展し、何らかのハラスメントとしてコンプライアンス違反と糾弾される可能性があるため、です。

 「一昔前の結婚観」を連想させる表現は、スピーチに盛り込まないようにしましょう。

 【結婚や出産で退職者に対する「送る側の挨拶」におけるNGワード】

  • 家庭に入る
  • 寿退社
  • 子どもをたくさん産んでください など

 なお、不自然にならない程度に結婚や出産について触れたいなら、次のフレーズをさらっと盛り込むとよいでしょう。

 【結婚で退職:送る側の挨拶に盛り込むフレーズ例】

Aさん、ご結婚おめでとうございます

ムードメーカーのAさんと職場で会えなくなるのはさみしいです。

持ち前の明るさで楽しく、笑顔あふれるご家庭を築いてください。

【出産で退職:送る側の挨拶に盛り込むフレーズ例】

Aさん、ご懐妊、おめでとうございます。

ムードメーカーのAさんと職場で会えなくなるのはさみしいです。

家族に加わる元気で可愛い赤ちゃんも一緒に、素敵なご家庭を築いてください。

【定年退職】送別会で送る側の挨拶例文

定年退職の場合、送る側の挨拶例文は共通です。

「送る側の挨拶」の例文を「上司から部下へ」・「同僚へ」・「部下から上司へ」で分ける必要がない理由は、関係性でスピーチを変える必要がないからです。

 退職時には「上司から部下へ」の関係性であっても、上司が退職者の元部下だったり、かつて同僚だったり、全ての関係性を網羅する可能性があります。

 定年退職の送る側の挨拶は「長年にわたる会社への貢献」と「敬意を払うべき仕事ぶり」をエピソードとして盛り込むことで、より強い感謝の気持ちを伝えましょう。

【定年退職:基本のスピーチ】

Aさん、ご定年ならびにご勇退、誠におめでとうございます。

Aさんは、新卒で○○株式会社に入社されてから、○○部署、○○部署を経て、○○を担当されました。

実に年もの間、会社のためにご尽力されてきました。

 ○○株式会社の歴史は、Aさんを抜きに語れません。

 私を含め多くの社員が、Aさんからのご指導により、一人前になりました。

○○株式会社の社員みな、Aさんからの教えをしっかり活かして、今後も邁進してまいります。

 社員一同、Aさんの今後のご健勝とご多幸をお祈りしております。

 これまで□年の長きにわたり、大変お世話になりまして、誠にありがとうございました。

 お体にお気をつけて、どうかご自愛ください!趣味の○○を楽しむ、第二の人生を謳歌してください。

 以上、送別の言葉とさせていただきます。

本当に、ありがとうございました。

【異動・転勤】送別会で送る側の挨拶例文

転勤や部署の異動など、今後も顔を合わせる可能性がある場合、送別会で送る側の挨拶では感謝の気持ちと功績をたたえる言葉に加えて「異動・転勤先での活躍を祈る」メッセージを盛り込むのが基本です。

 【異動・転勤:上司から部下へのスピーチ】

Aさん、長年希望していた○○部署への異動、おめでとうございます。

□年間、リーダーとしてチームを支えてくれたこと、本当に心から感謝しています。

Aさんの仕事に対する真摯な姿勢には、ただただ、頭が下がりました。○○のプロジェクトのときの取り組み、見事に○○を成功に導いたときのノウハウは、今もチームの要です。あなたのその実力なら、新しいところでもきっと即戦力として活躍できるでしょう。

 今回の移動は、チームとして考えれば残念ですが、Aさんのキャリアアップにとっても、会社の発展にとっても、必要なステップだと考えています。

 ○○部署は、今は○○のプロジェクトなどを抱えていると聞いています。大変なことや、つらいこともあるかもしれませんが、○○のプロジェクトを乗り越えたAさんなら心配いりません。いつものように、明るい笑顔とポジティブさで周りを巻き込みながら、アグレッシブに乗り越えてください!

 困ったときはチームの仲間に声をかけてくださいね。一人で抱え込まず、相談してください。

 ああ!もちろん、別に困ってなくても、飲みたいときは気軽に誘ってもらって構いませんよ。

 Aさんのますますの活躍に期待しています。

 今まで、本当にありがとう。これからも、がんばって!

 以上、送別の言葉とさせていただきます。

 【異動・転勤:同僚へのスピーチ】

Aさん、○○部署への異動、おめでとうございます!

Aさんとは○○のプロジェクトのときに、初めて一緒に仕事をさせていただきました。

 その仕事ぶりは勉強になることばかりで、仕事は大変でしたが、楽しくもありました。

 ○○部署への異動希望を出していることも、その仕事をしているときの雑談で、初めて聞いたように思います。

 「○○のプロジェクトの○○を成功させれば、いけるのでは?」と無責任な発言をしましたが、まさか現実になるとは、と今も驚いています。

 これまで○○のプロジェクトだけでなく、○○のプロジェクトも、○○のプロジェクトもがんばってきたAさんを見てきました。

 チームの一員としては、さみしい気持ちもありますが、Aさんなら、どんな困難も乗り越えていけると信じています。

 今まで、本当にありがとうございます。これからもAさんの1ファンとして、いつも応援しています!

 以上、送別の言葉とさせていただきます。

 【異動・転勤:部下から上司へのスピーチ】

Aさん、配属されてから3年間、本当にありがとうございました!

生意気ざかりの新人だった私に、毎日、敬語を添削して叱ってくださったときのことが、遠い昔のようです。新人の私から見ても、その当時からチームリーダーのAさんは、ムードメーカーでもあって、絶対にチームに欠かせない存在でした。 

私が○○プロジェクトで失敗したときには飲みに連れていって、励ましていただきました。今、私がここにあるのは、Aさんのご指導のおかげだと思います。

つい1ヶ月前です。Aさんが新しいキャリアを目指されると伺って、驚きました。正直、ショックでした。でも、Aさんのキャリアアップにとっても、会社の発展にとっても、必要なことと説明され、今回のことは私の成長にとっても必要なことなのだ、と思いました。 

Aさんにご指導いただいたこと、よくしてくださったご恩は、次にチームに入ってくる新人に返したいと思います。

大変なこともたくさんあるかと思いますが、Aさんなら、絶対乗り越えられます。がんばってください!

私もチームの中で、精一杯がんばってまいりますので、ぜひ、これからも見守っていてください!

以上、送別の言葉とさせていただきます。

まとめ

 ここまで、送別会の「送る側の挨拶」の例文についてご紹介しました。

人生、一期一会。

退職や異動した方とは疎遠になり、二度と会わないことがほとんどですが、意外なところで縁がつながるのも、また人生です

送る側としては、これまでの感謝の気持ちを込め、功績をたたえた送別の挨拶で後押しし、新たな生活の第一歩を気持ちよく踏み出してもらいましょう。