イベント司会を任された時に読みたい 心構えと立ち振る舞いのコツ

2021/4/12

2021/04/12

季節行事などのイベントごとで「司会をやってほしい」と頼まれた時、どうしますか?司会の経験が少ない人や、人前に立つのに慣れていない人は、何をすればいいのかも分からず、そのままイベント当日を迎えてしまうもの。「司会は、当日の進行をすればいいだけ」と思われがちですが、実は事前準備が大切です。

そこで今回は、イベントの司会を任された時に知っておきたい心構えと立ち振る舞いのコツについてご紹介します。

1.イベントを仕切る司会の役割と心構え

司会、という言葉で、皆さんが思い浮かべるものは何でしょうか。一番身近な例としてはテレビの司会でしょう。しかし、そのイメージでイベントの司会に臨むのは、大変危険です。というのも、彼らはテレビ的なパフォーマンスをする演者としての立ち振る舞いをしているからです。

一般的なイベントで司会に求められる役割は、演者ではなく「その場の舵取り」です。人前に立ち、一見目立つように見える司会ですが、あくまでその場で話の流れが脱線しないようにし、時間内にイベントが収まるようにタイムキープすることが、主な役割です。

目立ちたがり屋が司会をすると、イベント参加者の目がパフォーマンスにくぎ付けになってしまい、本来求められる司会の役割は果たせません。場を盛り上げる役割は、司会とは別に登壇する人にお任せしてしまいましょう。司会が無理をして会場を盛り上げる必要はないのです。

ただし、イベントやシーンによっては淡々としすぎた司会をしてしまうと会場を盛り下げてしまうかもしれません。心構えとして、その場その場に合ったスタンスで、司会を行うようにしてください。

2.イベントの司会をする際のコツ(事前準備)

うまくイベントの司会をこなすコツは、事前の準備にかかってくるといっても過言ではありません。

おさえるべきコツは以下の3つです。

その1:イベント全体の流れと細かな時間配分を確認(計算)する

あらかじめイベント全体の流れをイメージするようにしましょう。何も想定せず、その場その場で臨機応変に対処するのは大変で、失敗のもとです。

全体の流れをイメージできたら、始まりから終わりまでのイベントの中身に関わる時間配分を計算します(例、複数の組がパフォーマンスなどを披露する場合は1つの組にどれくらいの時間を割くのかなど)。

司会進行においてあらかじめ決めた時間に終わらせることは司会が遵守しなければいけない鉄則です。イベント参加者にはイベントの後にも大切な予定があるかもしれません。また、時間を決めているからこそ、進行スケジュールが立てられます。必ずスケジュールと時間配分を確認するようにしましょう。当日は、登壇者だけが見えるところに時計を置いて、常に進行状況を確認できるようにしましょう。

その2:挨拶する人や登壇者などの、氏名の読みやプロフィールの確認する

司会として人名を紹介する場合、事前準備で、名前の読み方やその人のプロフィールを絶対に確認してください。一番司会がやってはいけないことは、登壇者やプレゼンターの名前を間違えてしまうことです。難しい名前や一般的な読み方から離れているキラキラネームなどの場合は、確かに読みにくいですが、調べれば分かるものです。それで間違えてしまうのはイベント参加者にも準備不足という印象を与えます。

また、こうしたミスは司会自身の焦りになり、他のミスにつながり、イベントを台無しにしてしまいかねません。

その3:当日話すことの台本を作成し、シミュレーションする

開会の挨拶など、ある程度話す内容がわかっているものは台本にまとめて、シミュレーションしておくと、イベント当日も安心して臨むことができます。

まず、自分がどのようなタイミングで話をするのかを大まかに把握し、台本を作りましょう。

例えば、懇親会イベントの司会を任された場面を想定してみましょう。司会の主な役割は、「開会の挨拶」と「閉会の挨拶」で会の開始と終わりを宣言すること、そして登壇して挨拶を行う人ごとにタイミングを見計らって挨拶を促すことです。

余興など登壇者がいる場合はその人たちをどのように紹介するのかも考え、事前に司会が絶対話さなければいけない内容を、台本としてまとめましょう。期待をあおる、場の盛り上げにつながる文言を入れると、当日のイベント参加者に「できる司会だな」と思われるはずです。

「台本をどう作ればいいのか分からない」という方はこちらの記事を参考にしてみてください。

参考|懇親会の司会進行の段取りをするコツ 台本と挨拶文例

また、トラブルが起きたときにどのように対処するのか、などをスタッフと打ち合わせしておけば、いざという時に司会進行できなくなるような事態を回避することができます。

3.イベントの司会をする際のコツ(当日)

イベントを取り仕切る司会として事前の準備が完了したら、次は当日にすべきことをしましょう。つまり、自身のコンディションを整えて、見ている人々に見栄えがよくなるよう立ち振る舞いを意識するのです。

おさえるべきコツは以下の3つです。

その1:司会進行前にイベントに相応しいテンションに心理状態を調整する

司会に臨む前に、イベントの目的を確認しましょう。楽しく盛り上がることが目的のイベントなのか、それともまじめで儀式的に行うことが目的のイベントなのか。楽しく盛り上がるイベントなら、司会もできるだけ会場を盛り上げるようにイベント参加者に呼びかけます。

まじめな雰囲気の、儀式的なイベントなら、会場がざわつきすぎないように「静粛にお願いします」など、場をコントロールすることが求められます。

司会がイベント参加者をリードするためには、イベントの内容に相応しいテンションに司会がなっておく必要があります。そのため、「どんな場にしたいのかイメージを持つ」のがポイントになるのです。映画の1シーンを思い浮かべるように、より具体的に想像するといいでしょう。始まる前に、集中できる場所で気分の調整をすることも効果的です。

その2:姿勢を正して堂々と見栄えよく進行する

姿勢を正して堂々と見栄えよく進行しましょう。人前に立って話すこととき、緊張するのは当たり前のこと。ですが、背中が丸まり、うつむいて見栄えが悪くなると、司会の緊張感が参加者に視覚的に伝わってしまいます。逆に、どんなに緊張していても、堂々と前を向いて話していれば、イベント参加者に安心感を与えることできるでしょう。

司会として見栄えをよくするには、3つのポイントあります。

見栄えのポイント1:猫背にならない、うつむかない、ぼそぼそと話さない

姿勢を正して胸を張り、あごを少し引きましょう。猫背で下ばかり向いて、自信なさげに司会をしていれば、頼りなく感じてしまうので、やめましょう。

マイクの有り無しに関わらず5m先の人に届く声量、息の使い方で声を出すことで、説得力のある声になります。

ぼそぼそと何を話しているのか聞き取れない声では、イベント参加者はストレスを感じ、集中力が切れてしまうでしょう。会場の空気がだらけてしまう原因にもなるので、やめましょう。

見栄えのポイント2:ジェスチャーを使う

進行の区切りには笑顔で応えて、参加者がよいことをしてくれたら拍手するなど、ジェスチャーを使って気持ちを込めると一体感を作り上げることができます。

顔や手を使った身振り手振りは、言葉と一緒に伝えられる情報量が増えるので、司会の気持ちがより参加者に伝わりやすくなるのです。

見栄えのポイント3:オープンマインドで接する

自身の感情の状態を率直に話すオープンな態度でいることをおすすめします。緊張してしまうのは人間として当然のことです。緊張しているのがバレてしまうのは恥ずかしく感じ、ごまかそうとしてしまうのも分かりますが、オープンな態度では「実は緊張しています」などと伝えてみてください。自分の状態を客観的に見つめることで落ち着くことができ、安定感が生まれます。イベント参加者が緊張を責めることはありませんし、微笑ましく見守ってくれるはずです。

その3:言葉に感情を込めた話し方で共感を示す

言葉に感情を込めた話し方で、共感を示し、会場に一体感を出しましょう。

相手のことを理解していると相手に示す「共感」が足りない司会は、参加者と心の距離が開き、一体感のないイベントになってしまいます。

イベント参加者は、みんなが同じモチベーションで参加しているわけではなく、それぞれ別の目的意識があって参加しています。中には、自分と目的意識が違う参加者がいるかもしれませんが「そんな理由で来たのか」などと遠ざけるのではなく、参加者一人ひとりの目的に寄り添うことで、参加者も「理解されている」と感じます。

共感し、寄り添う姿勢を表現するのは難しいですが、大切なのは、言葉に感情を込める表現力です。

感じていることや考えていることを他の人にも分かりやすく伝える「表現力」をみがきましょう。

例えば、イベントの予行練習として、実際に話している声のトーンがどう聞こえているのかを確認するため、台本のセリフを、いくつか違う話し方で、録音して聞いてみるとよいでしょう。

言葉の終わりが「?(確認)」「!(驚き)」「↓落胆」「↑喜び」など自分が表現したいトーンかを確認し、実際に声に出して調子の上げ下げを調整してしっかりと相手に自分の感情を伝えられる声のトーンを探してみましょう。

また、話すスピードを意識することも大切です。人は緊張している時は、特に早口になるので、遅すぎると感じるくらいに、ゆっくり話すと、聞いている側としてはちょうどいいスピードになります。

あえて何もしゃべらない「間」を作ることも、話にリズムが生まれ、話し手の感情を表現しやすくなるので効果的です。

まとめ

司会の役割は、その場の舵取りです。気負わなくても済むよう、準備できるものは準備をしておきましょう。

イベントの目的、参加者にどのようなテンションで参加してもらいたいのかで、司会のスタンスも変わってくるため、登壇する前は集中できる時間を用意し、参加者をリードできるように努めてください。

また、感情を込め、ハキハキしゃべることで見栄えがよくなるので、言葉のトーンには気をつけましょう。せっかく任された司会進行、緊張や不安も楽しむスタンスで挑戦してみてください!