セミナー会場費用の勘定科目はどう決める?

2020/6/7

2020/05/29

セミナー会場として、貸し会議室などをレンタルするとき、気になるのは業務で使ったお金の分類名「勘定科目(かんじょうかもく)」をどう決めるかということです。

この記事では、セミナー会場費用の勘定科目の決めるコツを中心に、勘定科目の振り分け例をご紹介します。

セミナー会場費用の勘定科目は「利用目的」で決める

セミナー会場として、貸し会議室などをレンタルするとき、気になるのは「勘定科目」です。

「勘定科目(かんじょうかもく)」は、業務で使ったお金の分類名です。

一般的に、勘定科目は「資産」、「負債」、「純資産」、「収入」、「費用」の5つに分けられますが、この5つの科目をさらに分類して管理することが経理上、求められます。

例えば、会社が収益を得るためにかかる経費を振り分けるための勘定科目「費用」の中に「研修費」という勘定科目があります。これをさらに「講師費」や「教材費」などの勘定科目で分類し、管理します。

この勘定科目の分類方法、分類名の付け方には、決まった法的なルールがありません。そのため、貸し会議室を借りたとき、勘定科目が何になるか、判断が難しくなるのです。

会議室だから会議費なのか、主に研修で使われる場所だから研修費なのか。自社の商品・サービスなどの販売促進の目的で開かれるものだから販売促進費なのか。

勘定科目を決めるコツは、セミナー会場の利用目的で決めることです。

利用目的から考えれば、勘定科目はスムーズに、一貫性のある管理ができます。

例えば、セミナーという名前でも、実態は関係者や協力者との会議がメインの場であれば「会議費」として計上するのが妥当です。

同じく、従業員の研修や勉強会であれば「研修費」にし、従業員向けの福利厚生を目的としたセミナーは「福利厚生費」が妥当でしょう。

勘定科目の例 利用目的
販売促進費 自社の商品・サービスなどの販売促進を目的としたセミナー会場使用料
会議費 会議を目的としたセミナー会場使用料
研修費 従業員の研修を目的としたセミナー会場使用料
福利厚生費 従業員向けの福利厚生を目的としたセミナー会場使用料

会場費用以外にかかる経費をチェックして事前に相談する

セミナーでかかる費用は、セミナー会場の費用だけではありません。

会場費用以外にかかる経費をチェックしましょう。

勘定科目の書き方のルールは、企業によっても異なります。

セミナー会場費以外の経費を「セミナー運営費」のようにまとめられるところもあれば、細かく分類するところもあります。

企業として勘定項目が厳格に設定されていて、費用を振り分けるときの勘定科目をあなたの裁量で決められないケースもあるでしょう。

費用を振り分けたい場合、まず、経費に何があるかを知った上で、事前に上司や経理などに確認するようにしましょう。

セミナーの勘定科目例 関連する費用例 備考
セミナー会場費 会場費

テーブルや椅子、プロジェクターや音響機材などの設備・機材・備品レンタル費*

*会場によって設備・機材・備品の費用が会場費に含まれないこともある。利用条件を確認する。
講師費 講演料

その他管理費*

*講師を外部から招く場合、講師との折衝をする者との管理費が発生する。
資料費(配布する資料やアンケートなど) 資料作成費

資料用紙代

資料印刷費

資料運送費*

など

*セミナーの規模が大きく、配布資料が多い場合は運送費が必要。搬入条件も確認する必要がある。
スタッフ人件費 統括責任者

受付スタッフ

司会進行*

誘導スタッフ*

音響スタッフ*

撮影スタッフ*

など

セミナーの規模が大きい場合、司会進行や誘導スタッフが必要になる。記録を正式に残す場合、音響や撮影のスタッフが必要になる。
広告宣伝費 自社メールマガジン、SNS、Webサイト掲載費

チラシなどの紙もの広告費*

ダイレクトメール費*

外部Webサイト掲載費*

Google広告などの広告費*

など

外部に宣伝するタイプのセミナーの場合は必須。

ターゲットとなる人が利用するメディアを活用すること。

セミナー会場を借りるときの注意点

セミナー会場費に含まれているサービス内容の内訳を確認

セミナー会場費の金額は、セミナーの規模によって大きく変わります。参加者の人数に合わせたセミナー会場を手配しましょう。

そして何より、やりたいと思っているセミナーができるか、設備や機材、備品などのチェックが必要です。

例えば、プロジェクターでパソコンの画面をスクリーンに映し出し、講師が話すセミナーをイメージしているのであれば、プロジェクターとスクリーンが設備にあるか、無料Wi-Fiなどのインターネットを利用できる環境なのか、備品でパソコンを貸し出してもらえるか、パソコンのスペックが何か、映像を出力するときの対応規格などもチェックしておく必要があるでしょう。

また、会場以外の設備・機材・備品などが会場費として含まれていないこともあるので、注意しましょう。

講師を招くケース

講師費については、社外の方を招くのであれば、講演料の他、講師との折衝をする者との管理費が発生することを覚えておきましょう。

社内の方であれば業務として講師をするので、その時間分の働きは、講師費として計上することになります。

セミナー資料の手配

セミナー資料やアンケートなどの資料を手配する必要がある場合は、資料作成、用紙に印刷代と、資料に関する費用もかかります。外部の講師の場合、資料作成費用が講演料に含まれるか、事前に確認しておくとよいでしょう。

また、セミナーの規模が大きく、配布する資料が多い場合は運送費が必要で、会場に搬入条件も確認する必要があるでしょう。

ペーパーレスが求められる今、PDF形式のデータで提供してダウンロードさせたり、Webサイト上でアンケートに回答させたりすることも考慮に入れたほうがよいでしょう。そのWeb化の関連費用は、利用目的から資料費として計上することになります。

セミナー運営スタッフの有無

セミナーの運営スタッフが必要な場合は、スタッフの人件費が必要です。セミナー運営管理者と受付のスタッフは、どのような規模でも必須です。スタッフを社内で調達する場合でも、賃金や交通費などを含め、働き分をスタッフの人件費として計上することになります。

スタッフを外注する場合は、どのように人材を手配するかにもよりますが、賃金や交通費など以外に、派遣費や保険料などのような諸経費がかかるケースもあることもあります。特に、専門性の高い音響や撮影のスタッフを手配する場合、必要機材のレンタルなどを含めた費用も上乗せされるケースもあるため、事前に見積もりを行う方がよいでしょう。

費用が割けない場合、社内で音響や撮影などに詳しい人を探すなどの内製化の工夫も必要になります。スマートフォンなどを使いこなす若い世代には、編集や加工を含めた写真や動画の取り扱いが得意な人がいるはずです。ただし、素人がうまく取り扱えるのは、写真ぐらいで、動画は、BGMを後でかぶせて編集するイメージ動画程度です。明瞭に聞こえるレベルの音声の入った動画を求めるなら、講師の声を近くで録音するためのマイクと、しっかり固定できるカメラ機材が必須でしょう。広い会場で、長時間のセミナーの時間をきちんと記録したい場合、プロに任せなければ、期待した品質の動画は得られないでしょう。

なお、昨今は撮影と配信を同時に行うニーズも出てきていますが、この場合は、また別の専門性が必要となり、撮影だけできるスタッフよりも価格があがるため、慎重に検討しましょう。

セミナーの告知

外部に宣伝するタイプのセミナーの場合、広告費も必要です。

自社のメールマガジン、SNS、Webサイトなどのメディア掲載は安く済みますが、チラシなどの紙もの広告費、ダイレクトメール費、外部Webサイト掲載費、Google広告などの広告費などは、予算の範囲内で、効果的に行いましょう。

セミナーのターゲットとなる人が利用するメディアを活用することが重要です。

まとめ

セミナー会場費用の勘定科目の決めるコツは「利用目的で決める」ことです。利用目的から考えれば、勘定科目はスムーズに一貫性のある管理ができます。従業員の研修セミナーなのか関係者との会議なのか、自社商品のセールスなのかなど、セミナーが何の目的で開催されているかを考え、勘定科目を決めましょう。

また、セミナー会場費以外にもセミナーにかかる経費はあります。

費用を振り分けたい場合、まず経費に何があるかを知った上で、事前に上司や経理などに確認することをおすすめします。