入社式で身につけるネクタイの基本的なマナーと選び方
2022/3/29
2022/03/29
新入社員が主役となり、社の一員として参加する初めての式典である入社式ですが、大切な場だからこそ、社会人としての最低限のマナーがあります。
今回解説するネクタイに関しても、最低限のマナーがあり、入社式で身につけるネクタイを正しく着用するための基礎知識を覚えておきましょう。ネクタイのカラーやデザイン、結び方、また、注意点についても解説していきます。
Contents
ネクタイの基礎知識
ネクタイには形状や生地によって様々な種類があります。新社会人としても、身につけるものの基礎知識を知っておくことで、マナー等を改めて知ることもできます。
ネクタイの基礎知識を、形状と生地に分けてそれぞれ解説していきます。
ネクタイには4つの形状がある
代表的だとされている4種類の形状を紹介していきます。
【フォア・イン・ハンド・タイ】ビジネススーツで一般的に使用されるタイプ
一般的に知られている名前で「幅タイ」とも呼ばれています。ネクタイの先端が尖り、剣先を結び下げているスタイルのものを指します。ビジネススーツに合わせる形状で最も一般的な形状です。
ネクタイの幅によってもそれぞれ種類があり、種類によってどのシーンで着用されるものかも決まっています。
- ナロータイ
ネクタイ先端の一番太い部分の幅が4〜6㎝の物で、ビジネスの場よりもカジュアルスタイルやパーティーなどで着用されることが一般です。
- レギュラータイ
ネクタイ先端の幅が7〜9㎝の物で、ビジネススーツやビジネスの場で着用されることが一般的です。
- ワイドタイ
ネクタイ先端の幅が10㎝以上の物で、襟幅が広かった昔のジャケット等で使用され、近年のジャケットは襟幅が細いため違和感が出てしまう。ビジネスの場で使用されることはあまりありません。
【アスコット・タイ】フォーマルな場で使用され、エレガントな印象を与える
主に紋織絹やスカーフで作られ、幅が広くボリュームが出るタイプのもので、見た目の特徴から、「蝉型ネクタイ」と呼ぶ方もいます。また、形状が似ていて、スポーツの場で着用するものを「アスコット・スカーフ」と呼びます。
結婚式で新郎が着用するタキシードや、結婚式の来客者や二次会など、パーティーの場でジャケットに使用されることが一般的で、エレガントな印象を与えます。
【ボウタイ】フォーマルやカジュアルな場で使用され、着こなし方で立派に見える
襟元で蝶結びをするネクタイを総称してボウタイと呼びますが、幅や形状によって種類や名称は異なり、最も身近で知られている物に「蝶ネクタイ」があります。
自身で結ぶものもあれば、既に形状が出来上がっている物もあり、主に結婚式の二次会、パーティー、授章式等のフォーマルな場で使用されることが一般的です。使用する場によって立派な印象を与えるため、上手に着こなすことでお洒落だと見られることもあります。
生地によって使用する季節が異なる
ファッションと同様に、ネクタイにも生地によって使用する季節があります。使用する季節、生地の特徴も合わせて6種類を紹介していきます。
【シルク】オールシーズンで使用され、最も一般的な生地
光が当たる位置で光沢感があり、肌触りが良いことが特徴です。ネクタイに使用される生地の中でも最も一般的で、オールシーズンで活躍する生地です。
シルク生地よりも安い、ポリエステル生地を使用したネクタイもありますが、見た目の高級感だけでなく、シルク生地の方が結びやすく、かつ解けにくいという特徴があります。
【コットン】オールシーズンで使用され、着こなし方で見え方も変わる
シルク生地よりもマットな質感があるため、落ち着いた雰囲気を演出してくれます。ビジネスの場でもカジュアルの場でも活躍し、シンプルや落ち着いた色味の着こなしに合うのが特徴です。
コットン生地は、見る人によって春夏向きまたは秋冬向きと分かれます。そのため、カラーやデザインで季節感を変化させることが重要です。
【ニット】春夏向きの生地で、カジュアルスタイルに合うことが特徴
ネクタイで作られている形状では、スクエア・タイがほとんどで、生地に立体感があるため、ざっくりした作りになっているのが特徴です。生地に多少の重みがあるため、吊るして保管をすると伸びてしまい、平置きでの保管が好ましいとされています。
ネクタイがカジュアルな作りのため、ビジネススーツで使用するよりもカジュアルな場で使用されることが多くあります。
【リネン】春夏向きの生地で、涼しげかつ爽やかな印象
リネン生地は、夏によく耳にする麻と同様の生地で、シャツやジャケットにも使用されます。生地の見た目から、涼しげかつ爽やかな印象を持たせるため、シルク生地に比べてカジュアルなスタイルになります。
生地の特徴でシワになりやすいため、連続で使用するのは避ける、もしくはアイロンのスチームを当てるなどの手入れをこまめに行いましょう。
【フレスコ】春夏向きの生地で、メッシュ状が特徴
立体かつメッシュのような織物で、ざっくりした生地のため、夏場のスーツとの相性は抜群です。また、フレスコはイタリア語で、『新鮮・涼しげ』という意味を持つため、リネン生地と同様に涼しげかつ爽やかな印象があります。
生地の軽さも特徴で、付けている事をつい忘れてしまうほどの付け心地があります。
【ウール】秋冬向きの生地で、暖かみがある
生地を比べてみると暖かみがあるのは一目瞭然です。寒くなる秋から冬にかけての使用にぴったりで、フラノ生地(肉厚でソフトな弾力)や、ツイード生地(短い羊の毛糸を使用し表面が粗っぽい)で作られた、ボリュームのあるジャケットとの相性が抜群です。
生地に張りがあるため、結びやすさもあり、シワになりにくい特徴があります。
入社式は爽やかさを演出できるネクタイを選ぶ
入社式では、新入社員としての意識はもちろん、代表や上司から好印象を持たれるものを選ぶようにしましょう。目立ちすぎず、爽やかさや信頼感がある印象を演出できる物を選びましょう。
また、着用するスーツや色物シャツに近い色味で揃えることもポイントの1つです。しかし、「スーツ」「色物ワイシャツ」「ネクタイ」の3点を見た時に、3色以上になってしまわないように気をつけましょう。色が多いほど相手の視線が散ってしまうため、2色までに収めることがポイントです。
明るい色味や主張の強いネクタイは入社式に適さない
入社式に適したネクタイとは反対に、明るい色味で柄もはっきりしていて主張があるネクタイは、入社式かつ新入社員として適していません。
例えば、華やかさがある赤やピンクや黄色といった色味は、悪目立ちしてしまい、派手という印象を与えてしまう可能性があります。また、合わせるスーツやワイシャツも難しく、違和感がある着こなしになってしまう可能性があります。
また、ブランド物のネクタイは避けましょう。
ブランドによってはダークカラーで柄も控えめなものがあるため、主張が強くなければOKと感じる方もいるかと思います。しかし、高価なブランドこそブランドの特徴がデザインに表れていることがあります。詳しい人ほどネクタイを見ただけでどのブランドなのかが分かります。
高価なブランドのネクタイを付けているというだけで、見る人によっては生意気だと言う方もいるでしょう。入社式だけでなく、入社して間もないうちは避けたほうが無難でしょう。
入社式のネクタイ選びのポイント
入社式に適したネクタイを選ぶために、カラー、デザインなどの項目ごとにネクタイ選びのポイントを解説します。
- ブルーやネイビーの青系を選ぶ
- レジメンタルや無地を選ぶ
- シルクのレギュラータイを選ぶ
- スーツやワイシャツに合わせて選ぶ
ブルーやネイビーの青系を選ぶ
一番おすすめのカラーはブルーやネイビーのネクタイです。青系は真面目、誠実、知的、清潔感などの印象を与え、新入社員としても好印象の色になります。業務で取引先やお客さんの前に立つ際にも、相手からのウケが良いため、長い目で見て1つは持っておいた方が良い色です。
また水色は、真面目、爽やかという印象を与え、エンジは、クール、根気、ポジティブ、な印象を与え、どちらもスーツとの相性が良く、入社式でもおすすめです。
レジメンタルや無地を選ぶ
おすすめはレジメンタル(ストライプ)や無地のデザインです。
レジメンタルは、若々しい印象を与えますが、色味が多い物やストライプ幅が広い物は派手に見えてしまうため、控えめなストライプが最適です。
無地は、落ちついた印象を与えますが、コットン生地等はカジュアルや特別感を演出してしまうため、定番のシルク生地で光沢感のあるものが良いでしょう。
また、ドットは、爽やか、若々しいという印象を与え、小紋は、大人、落ち着きという印象を与え、どちらも入社式のネクタイのデザインに適していますが、柄は小さく目立たない物を選びましょう。
レジメンタルのネクタイは、ビジネスの場でも人気のデザインで、上司から好印象を持たれやすいという面もあるためおすすめですが、就職先が外資系の企業の場合は注意が必要です。 「レジメンタル」という言葉の由来は、英語の『Regimental=連隊に属する』という単語からきています。イギリスの軍隊が、所属する連隊の旗カラーをストライプにし、ネクタイに取り入れ、身につけることで、自身の所属を表したことがきっかけです。 この習慣は、イギリス大学の卒業生の集まり等にも広まり、決められているそれぞれの大学カラーのストライプネクタイを、卒業生の集まり等で身につけることが習慣となっていて、フォーマルな場でレジメンタルのネクタイを付ける習慣が、海外にはほとんどありません。 そのため、外資系企業への就職で、入社式に参加する場合は避けた方が良いでしょう。 |
シルクのレギュラータイを選ぶ
初めに、ネクタイの形状と生地の種類について解説しました。その中から入社式で身につけるネクタイのスタイルは、フォア・イン・ハンド・タイの形状で、レギュラータイかつシルクのネクタイがおすすめです。
ネクタイは形によって身につける場が決められている物や、相手から受ける印象が変わってしまいます。ネクタイの種類を知っておくことで、どのネクタイがその場に正しいのかを知ることができます。
入社式はその社の式典であり、新入社員が主役の場であるからこそ、最も一般的でビジネススーツにも合い、季節を選ばず高級感のあるシルクのレギュラータイを選びましょう。
スーツやワイシャツに合わせて選ぶ
ネクタイを単体で選ぶことももちろん問題ありませんが、スーツやワイシャツと合わせ、全体を見た時に違和感が生じてしまう場合は、柄やカラーを変えることも考えましょう。
一番は主役であるスーツとの相性がポイントです。原則、ビジネススーツにおいて、スーツとネクタイの色は近いものにすることが理想とされています。スーツとネクタイの色が離れすぎていると、変に目立ってしまい、新入社員かつ入社式には適さない着こなしとなってしまいます。
例として、ネイビー系のスーツ、ブラック系のスーツ、それぞれのスーツと相性が良いネクタイをご紹介します。
ネイビー系スーツ |
ブラック系スーツ |
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入社式に身につけるネクタイの結び方
ネクタイの種類と同様に、ネクタイの結び方にもいくつかの種類があり、入社式で身につけるネクタイの結び方として、3種類を紹介します。
プレーンノット
ネクタイの結び方で最も簡単な結び方とされています。シンプルな結び方のため、ネクタイの形状や生地に関わらず、どんなシャツにも合う結び方です。
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ダブルノット
ダブルノットとプレーンノットの見た目の違いはあまりありませんが、小剣に対して大剣を2回巻きつけるため、結び目が大きくなり、ボリューム感を出すことができます。上半身にボリュームを持たせたい男性と好相性の結び方です。
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ウィンザーノット
プレーンノット、ダブルノットと異なり、少し結び方が難しいウィンザーノットですが、お洒落な結び方かつ、崩れにくいという点で手間が少ないため、フォーマルな場で活躍する結び方です。
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入社式でネクタイピンを付けるのはマナー違反ではない
入社式でネクタイピンを付けることは、マナー違反ではありません。付けていても問題ありません。
昔のネクタイは裏地がなく薄かったために、ねじれてしまったり揺れてしまったりすることがあり、ネクタイピンが使用されるようになりました。
近年のネクタイには裏地があり、昔のようにねじれてしまうようなことは少なくなりましたが、お辞儀の際にジャケットからネクタイがはみ出る事を防ぐといった機能的役割もあるため、入社式でアイテムの1つとして取り入れてみても良いでしょう。
まとめ
今回は入社式でのネクタイの選び方やポイントについて解説しました。
社の式典に参加する新入社員は、迎えられる社に対しての感謝と、今後の業務で協調性を持って取り組んでいくという姿を演出することがマナーの1つであり、ネクタイ単体で見るのではなく、スーツとのバランスを見てネクタイを選ぶことも大切です。
目立つための場ではないため、派手なカラーや柄、サテンなどの入社式には適していないネクタイを選ばないように気をつけましょう。ネクタイの形状や柄、結び方は数多く、ビジネスや入社式に適したスタイルを知っておくことは、社会人としても大切なことです。