送別会で送る側の挨拶 シチュエーション別のスピーチ文例
2020/2/9
2020/02/04
出会うときに理由はなくとも、別れには必ず理由があるもの。
職場の送別会において、退職者を見送る側の挨拶は、送られる側の事情や関係性などを含めたシチュエーションによって、かなり中身が変わります。
この記事では、送別会で送る側として挨拶することになったときのスピーチの文例を、シチュエーション別にご紹介していきます。
Contents
送別会で送る側の挨拶をするときのポイント
職場の送別会で送る側の挨拶ほど、ケースバイケースという言葉がふさわしいスピーチはないでしょう。
退職者や休職者といった送られる側の事情や関係性などを含めたシチュエーションによって、挨拶の中身はかなり変わりますが、送別会の送る側の挨拶で大切なのは、「感謝の気持ちを伝えること」と「これまでの功績をたたえること」です。「ありがとう」と「お疲れ様」がきちんと伝われば、送別会の送る側の挨拶として申し分ありません。
送別会は慰労会ではないのでは?と思うかもしれませんが、退職する人に対して、感謝の気持ちがあるのは、その人がきちんと仕事をしてきて、功績があるからです。定年退職のような「長年にわたる会社への貢献」とまではいかなくとも、敬意を払うべき仕事ぶりをエピソードとして盛り込むことで、より強い感謝の気持ちを伝えることにつながります。
関係性によって気をつけるポイント
送られる側の方との関係性によって、挨拶のスタンスは変わります。大きく3つの関係性が考えられます。
- 上司から部下へ
- 同僚へ
- 部下から上司へ
「上司から部下へ」の場合は、感謝の気持ちよりも「これまでよく頑張ったね」というニュアンスを強く出します。これまでのがんばりを褒めつつ、次の新たなステージでの活躍を願う言葉でまとめるとよいでしょう。
「同僚へ」の場合は、感謝の気持ちと、残念でさみしい気持ちを伝えましょう。一緒に仕事したエピソードから、人柄などを紹介できるのが望ましいです。功績については「これまで頑張ってきたのを見てきた」というニュアンスで伝えると、上から目線にならず、好印象です。
「部下から上司へ」の場合は、これまでの感謝の気持ちを強調しましょう。功績は特に触れずに「上司の教えを忘れず、しっかりやっていきます!」という抱負を述べるのがよいでしょう。部下を育てた事実こそが、送られる人の功績だ、とアピールできます。
シチュエーション別のスピーチ文例
送別会のスピーチは、2回のタイミングがあります。
送別会の乾杯挨拶のタイミングか、送別会の終わりに近付いたタイミングです。終わりのスピーチのタイミングは、コース料理のデザートまで出た辺りか、ラストオーダーの飲み物が届いた後がベストです。
どちらのタイミングでも、文例の内容は変化しませんが、乾杯挨拶の場合は最後に「乾杯!」を付け加えましょう。
では、4つのシチュエーション別にスピーチ文例を見ていきましょう。チームリーダーを務めた「Aさん」の送別会で話す想定で、作成しています。
自己都合で退職する場合
自己都合による退職の場合、人によって理由はさまざまですので、必ず退職理由を挨拶に盛り込む必要はありません。感謝の気持ちをしっかりと伝えましょう。
・上司から部下へ
Aさん、□年間、リーダーとしてチームを支えてくれたこと、本当に心から感謝しています。
○○のプロジェクトの成功は、チームのリーダーがAさんでなければ、きっと成し遂げられなかったでしょう。あなたのその実力なら、新しいところでもきっと即戦力として活躍できるでしょう。 かねてより、○○の道に進みたいとの相談は受けておりましたが、このたび新しいキャリアに進まれることになりました。Aさんのご退職は、会社としてもチームとしても大きな痛手ではありますが、社会や業界とって貴重な人材であるAさんを、気持ちよく送り出したいと思います。 Aさんの、さらなるご活躍とご多幸をお祈りしております。 今まで、本当にありがとう。これからも、がんばってください! 以上、送別の言葉とさせていただきます。 |
・同僚へ
Aさん、□年間、ありがとうございました。
Aさんとは○○のプロジェクトのときに、初めて一緒に仕事をさせていただきました。その仕事ぶりは勉強になることばかりで、仕事は大変でしたが、楽しくもありました。その仕事をしているときの雑談で初めて、Aさんのキャリアプランについて聞いたように思います。 今回はAさんのキャリアプランに沿った退職だと聞いています。これまで○○のプロジェクトだけでなく、○○のプロジェクトも、○○のプロジェクトも乗り越えてきたのを見てきました。Aさんなら、どんな困難も乗り越えていけると信じています。 Aさん、さみしいですが、今まで、本当にありがとう。これからもAさんのファンとして応援しています! 以上、送別の言葉とさせていただきます。 |
・部下から上司へ
Aさん、配属されてから3年間、本当にありがとうございました!
生意気ざかりの新人だった私に、毎日、敬語を添削して叱ってくださったときのことが、遠い昔のようです。私が○○プロジェクトで失敗したときには飲みに連れていって、励ましていただきました。今、私がここにあるのは、Aさんのご指導のおかげだと思います。 つい1ヶ月前です。Aさんが退職されると伺って、ショックでした。でも、Aさんのキャリアアップにとって必要なことと説明され、私の成長にとっても必要なことなのだ、と思い直しました。 Aさんにご指導いただいたこと、よくしてくださったご恩は、次にチームに入ってくる新人に返したいと思います。 大変なこともたくさんあるかと思いますが、Aさんなら、絶対乗り越えられます。がんばってください! 私も、Aさんに負けないくらい、がんばってまいります! 以上、送別の言葉とさせていただきます。 |
異動/転勤をする場合
感謝の気持ちと功績をたたえる言葉に加え、移動先や転勤先での活躍を祈る言葉を盛り込むのがポイントです。
・上司から部下へ
Aさん、長年希望していた○○部署への異動、おめでとうございます。
□年間、リーダーとしてチームを支えてくれたこと、本当に心から感謝しています。 Aさんの仕事に対する真摯な姿勢には、ただただ、頭が下がりました。○○のプロジェクトのときの取り組み、見事に○○を成功に導いたときのノウハウは、今もチームの要です。あなたのその実力なら、新しいところでもきっと即戦力として活躍できるでしょう。 今回の移動は、チームとして考えれば残念ですが、Aさんのキャリアアップにとっても、会社の発展にとっても、必要なステップだと考えています。 ○○部署は、今は○○のプロジェクトなどを抱えていると聞いています。大変なことや、つらいこともあるかもしれませんが、○○のプロジェクトを乗り越えたAさんなら心配いりません。いつものように、明るい笑顔とポジティブさで周りを巻き込みながら、アグレッシブに乗り越えてください! 困ったときはチームの仲間に声をかけてくださいね。一人で抱え込まず、相談してください。 ああ!もちろん、別に困ってなくても、飲みたいときは気軽に誘ってもらって構いませんよ。 Aさんのますますの活躍に期待しています。 今まで、本当にありがとう。これからも、がんばって! 以上、送別の言葉とさせていただきます。 |
・同僚へ
Aさん、○○部署への異動、おめでとうございます!
Aさんとは○○のプロジェクトのときに、初めて一緒に仕事をさせていただきました。その仕事ぶりは勉強になることばかりで、仕事は大変でしたが、楽しくもありました。 ○○部署への異動希望を出していることも、その仕事をしているときの雑談で、初めて聞いたように思います。 「○○のプロジェクトの○○を成功させれば、いけるのでは?」と無責任な発言をしましたが、まさか現実になるとは、と今も驚いています。 これまで○○のプロジェクトだけでなく、○○のプロジェクトも、○○のプロジェクトもがんばってきたのを見てきました。 チームの一員としては、さみしい気持ちもありますが、Aさんなら、どんな困難も乗り越えていけると信じています。 今まで、本当にありがとうございます。これからもAさんのファンとして、応援しています! 以上、送別の言葉とさせていただきます。 |
・部下から上司へ
Aさん、配属されてから3年間、本当にありがとうございました!
生意気ざかりの新人だった私に、毎日、敬語を添削して叱ってくださったときのことが、遠い昔のようです。新人の私から見ても、その当時からチームリーダーのAさんは、ムードメーカーでもあって、絶対にチームに欠かせない存在でした。 私が○○プロジェクトで失敗したときには飲みに連れていって、励ましていただきました。今、私がここにあるのは、Aさんのご指導のおかげだと思います。 つい1ヶ月前です。Aさんが新しいキャリアを目指されると伺って、驚きました。正直、ショックでした。でも、Aさんのキャリアアップにとっても、会社の発展にとっても、必要なことと説明され、今回のことは私の成長にとっても必要なことなのだ、と思いました。 Aさんにご指導いただいたこと、よくしてくださったご恩は、次にチームに入ってくる新人に返したいと思います。 大変なこともたくさんあるかと思いますが、Aさんなら、絶対乗り越えられます。がんばってください! 私もチームの中で、精一杯がんばってまいりますので、ぜひ、これからも見守っていてください! 以上、送別の言葉とさせていただきます。 |
定年退職をする場合
定年退職の場合、文例は共通です。一般的に、定年退職の方を送る場合は、会社を代表してスピーチします。
また、退職時には「上司から部下へ」の関係性であっても、上司が退職者の元部下だったり、かつては同僚だったりして、全ての関係性を網羅するケースが多いため、です。
・上司から部下へ/同僚へ/部下から上司へ
Aさん、ご定年ならびにご勇退、誠におめでとうございます。
Aさんは、新卒で○○株式会社に入社されてから、○○部署、○○部署を経て、○○を担当されました。実に□年もの間、会社のためにご尽力されてきました。○○株式会社の歴史は、Aさんを抜きに語れません。 私を含め多くの社員が、Aさんからのご指導により、一人前になりました。○○株式会社の社員みな、Aさんからの教えをしっかり活かして、今後も邁進してまいります。 社員一同、Aさんの今後のご健勝とご多幸をお祈りしております。 これまで□年の長きにわたり、大変お世話になりまして、誠にありがとうございました。 お体にお気をつけて、どうかご自愛ください!趣味の○○を楽しむ、第二の人生を謳歌してください。 以上、送別の言葉とさせていただきます。 |
結婚や出産のために退職する場合
現在、女性に対し、結婚や出産について詳しく触れるスピーチは避けられる傾向にあります。
言葉を選ぶセンスが問われます。下手なことを言うとトラブルに発展し、最悪、何らかのハラスメントとして、コンプライアンス違反だと糾弾される可能性さえあります。例えば「家庭に入る」・「寿退社」・「子どもをたくさん産んでください」といった一昔前の結婚観を連想させる表現は、気軽にスピーチに盛り込まないことです。
結婚や出産のための退職は、結局のところ、自己都合の退職です。結婚や出産というプライベートなお祝いの気持ちを、わざわざ送別会というオフィシャルな場で伝える必要もないのです。自己都合での退職の文例を参考にして、結婚や出産について触れず、スピーチしてもよいでしょう。
それでも、不自然にならない程度に結婚や出産について触れておきたいなら、次のようなフレーズをさらっと盛り込むとよいでしょう。
・結婚の場合:上司から部下へ/同僚へ/部下から上司へ
Aさん、ご結婚おめでとうございます
ムードメーカーのAさんと職場で会えなくなるのはさみしいです。 持ち前の明るさで楽しく、笑顔あふれるご家庭を築いてください。 |
・出産の場合:上司から部下へ/同僚へ/部下から上司へ
Aさん、ご懐妊、おめでとうございます。
ムードメーカーのAさんと職場で会えなくなるのはさみしいです。 家族に加わる元気で可愛い赤ちゃんも一緒に、素敵なご家庭を築いてください。 |
まとめ
送別会で送る側として挨拶することになったときのスピーチの文例を、シチュエーション別に見てきました。
人生、一期一会。退職した方とは疎遠になり、二度と会わないことがほとんです。しかし、意外なところで縁がつながるのも、また人生です。
送る側としては、これまでの感謝の気持ちを込め、功績をたたえた送別の挨拶で後押しし、新たな生活の第一歩を気持ちよく踏み出してもらいましょう。